眼球を舐めたい
たったその一言で、かなり危ない人だというレッテルを貼らざるを得なくなってしまった高槻と教室に二人きり。眼球を舐めたいとせがまれ、じりじりと迫られ、追い詰められ、普段はクールな高槻からは想像もつかないほど滾った瞳で見下ろされる。
彼は身長が高かった。俺は彼を見上げていた。狙われた二つの眼球で、彼を見上げていた。彼は普通じゃなかった。視線はぶつかっているはずなのに、まるで俺を見ていない。彼が見ているのは、二つの空洞に埋め込まれた人間の眼球だ。俺ではない。口では羽柴と呼んでいながら、彼は俺を見ていない。
このままでは、眼球を舐められる。喰われる。喰うとは言っていないが、そんな気がしてならなかった。そんな気にさせる目をしていた。野生的で獰猛な目だった。
「あ、の……、高槻、ダメだからな、ほんとに……、眼球、舐めるとか……」
「眼球を舐めたい。理想の眼球。早く舐めたい」
一つも聞いていない。俺の声が届いていない。舐められる。喰われる。眼球を舐めたい。高槻の声。高槻の吐息。
高槻は興奮している。俺を壁に押さえつけ、逃げられないようにほとんど隙間をなくして、目元に唇を寄せてくる。思わず目をギュッと瞑り顔を逸らせば、羽柴、と気を引くような声で諭される。そんな声で誘惑したって無駄だ。俺には効かない。絶対に目は開けない。意地でも開けない。
なぜか狙われている自分の眼球を守るために意固地になってきつく目を閉じ、暗闇の中、どうにか高槻の束縛から逃れようとするが、不思議なほど抵抗できなかった。股下に入れられた足が、逃走を阻止しているかのようで。身を捩っても、高槻に拘束されているという圧迫感は拭えなかった。掴まれている手首がギリギリと痛む。
彼は身長が高かった。俺は彼を見上げていた。狙われた二つの眼球で、彼を見上げていた。彼は普通じゃなかった。視線はぶつかっているはずなのに、まるで俺を見ていない。彼が見ているのは、二つの空洞に埋め込まれた人間の眼球だ。俺ではない。口では羽柴と呼んでいながら、彼は俺を見ていない。
このままでは、眼球を舐められる。喰われる。喰うとは言っていないが、そんな気がしてならなかった。そんな気にさせる目をしていた。野生的で獰猛な目だった。
「あ、の……、高槻、ダメだからな、ほんとに……、眼球、舐めるとか……」
「眼球を舐めたい。理想の眼球。早く舐めたい」
一つも聞いていない。俺の声が届いていない。舐められる。喰われる。眼球を舐めたい。高槻の声。高槻の吐息。
高槻は興奮している。俺を壁に押さえつけ、逃げられないようにほとんど隙間をなくして、目元に唇を寄せてくる。思わず目をギュッと瞑り顔を逸らせば、羽柴、と気を引くような声で諭される。そんな声で誘惑したって無駄だ。俺には効かない。絶対に目は開けない。意地でも開けない。
なぜか狙われている自分の眼球を守るために意固地になってきつく目を閉じ、暗闇の中、どうにか高槻の束縛から逃れようとするが、不思議なほど抵抗できなかった。股下に入れられた足が、逃走を阻止しているかのようで。身を捩っても、高槻に拘束されているという圧迫感は拭えなかった。掴まれている手首がギリギリと痛む。