Cherry Blossoms〜偽りの絆〜
「完璧じゃなくてもいいんだよ。大切なのは、きちんと最後までやり遂げることだから」

「クラウディオ先生……」

二人が同時に呟く中、体育館に到着する。ステージ袖からチラリと一花が様子を窺うと、大勢の生徒がステージに目を向けていた。そして、「eagleって何?」と言いたげな表情をしている。

時間になると校長先生が挨拶をし、それが終わると一花たちが拍手に出迎えられてステージに姿を見せる。大勢の人の視線に、一花の緊張は増してしまった。

(こんなに多くの視線を浴びるなんて、学会くらいかしら?いや、それ以上にこっちの方が多いかしら?)

そう思っている一花の隣で、クラウディオがマイクを手に「こんにちは」と話す。外国人が流暢な日本語で話したことに、生徒たちの中には驚きの表情を浮かべる者もいた。

「南米のチリ出身の外科医、クラウディオ・エルナンデスです。eagleのチームリーダーをしています。本日は、貴重な時間を作っていただき、ありがとうございます」
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