春、忍ぶれど。

05

「あふっ……やっ……やあっ……」

 ラルフは、首筋に舌を這わせるとその肌を味わうように、何度も何度も舐め上げた。最初くすぐったくて、笑ってしまっていたシャロンだったけどだんだんと高まっていく快感に逆らえなくて、声を我慢できなくなってきて甘い声をあげてしまう。

「シャロン、もっと声出して。かわいい声が聞きたい」

 気持ちよさをうまく逃せなくて潤んだシャロンの目を満足気に見るとラルフはひとつひとつ焦らすように白いシャツの釦を外す。それが終わるとスカートの金具も器用に外すとゆっくりと足を抜いて、下着姿になった獲物を絶対に逃さないと、そう思っているかのようにじっと息を殺している。

「……ラルフ?」

 不思議そうにシャロンは聞いた。なんだか、据わってしまったラルフの青い目が物悲しくも思えたからだ。色っぽいことであるはずの今の状況には似つかわしくないような、そんなさみしい表情をしているようで。

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