「信じられない」を、「真実の愛」に変えてくれたキミへ

朝のホームルームのことだった。



「文化祭の出し物で、いい案がある人いますかー?」



文化祭実行委員の人が、黒板に『出し物について』と白いチョークで書いてそう言った。

早速、廊下側の女の子が手を挙げた。



「コンカフェがいいと思いまーす!」



「コンカフェねぇ……。割と定番だから、被る可能性があるよね……。一応、実行委員同士でも話し合うけど、他はありますかー?」



黒板に近い席に座っている男子が、挙手した。



「ダンスはどうですかー?」



「ダンス……。ダンスだったら、どの曲にするか決めなくちゃいけないので、どんなのがいいか考えたら、あらかじめ忘れないようにメモしとくといいと思います!」



他にも、いくつか候補はあがったけれど、チャイムが鳴り終わり、休み時間になってしまった。



「ねぇ、百々葉はなんか考えたの?」



近くの席で、翠が聞いてきた。



「えー、いろいろ考えてはみたけど、しっくりくるのは思い浮かばなかった」



「情報によると、隣のクラスではボウリングらしいよ」



ひーくんのクラスはボウリングかぁ。



「って、次の授業、理科室じゃん! 早く準備しよ」



翠がそう言って、やっと私も周りに気がついた。
わたし達以外に、理科室に行く準備をしていない人はいない。


わたしも慌てて、科学の教科書とノートを持って、翠と教室を出た。




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