最強総長の愛するボディガード
目が覚めると、そこは元々学校だったのか、薄暗い体育館の中だった。
手足は縛られていて身動きが取れないけど、今までの知識を使えばいつだって抜け出せるので、とりあえずは情報収集を優先する。
体育館の時計を見ると、時刻はあと少しで十六時になるところ。
心さんがアジトにやってきたのは十四時だから、あれから約二時間が経過している。
周りに人の気配はない。
今すぐ体育館を出てもいいけど、ここがどこなのか分からない以上下手に行動すべきでは無い。
どうすべきか考えていると、私はスーツに仕込んでおいた拳銃がないことに気がつく。
心さんが盗っていったのかな……
というかそもそも、この誘拐は心さんによるものなのかな?
心さんからもらった生チョコを食べたら眠気に襲われたんだから、心さんで間違いはないと思うんだけど、きっとまだ協力者がいる。
心さん一人で私を運ぶのは大変だと思うし、アジトの近くに廃校なんてないことから、ここまでの移動には自動車が使われたはず。
心さんは車を運転できる年齢じゃないため、その協力者は成人している可能性が高い。
………というか、
私って警戒心無さすぎじゃない!?
心さんの演技に騙されて誘拐されて……
もし、この間に蒼凰さんが狙われていたら……?
そんなの、じっとしている訳にはいかない!
私は急いで縄を解き、縛られていた手足の自由を取り戻す。
そして体育館から出ようと一歩踏み出した時、ステージの方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あっ、心羽ちゃん起きたんだ!おはよう〜」
「……心さん……」