最強総長の愛するボディガード
ところで……
瑠奈は私が防弾チョッキを着ていることを知っているはず。
なのに頭じゃなくて体に向かって打ったのは、まさか……
いや、ただ怖気付いただけだと思っておこう。
そうしている内に瑠奈は無事に取り押さえられ、視線は心さんに集まる。
「心、どういうことか説明しろ」
いつになく怒っている蒼凰さんが、心さんに冷たい言葉を放つ。
それは心さんにとって初めてのことだったらしく、心さんの瞳には動揺と恐怖の色が現れた。
「……だ、だって、心羽ちゃんが邪魔だから……あ、あのねっ、私と蒼凰は婚約するのっ、そしたら家同士の利益にも……」
「俺の婚約者は、心羽ちゃんだけど?」
「……え?」
今のは心さんの声。
でも、私も思わず声が出てしまいそうになった。
私が蒼凰さんの婚約者……!?
そんなはず……
あ、心さんを騙すためか!
そうだよねっ、うん、きっとそう……