最強総長の愛するボディガード
怖いなんて一切思わず、私は胸を高鳴らせながら返事をする。
「はいっ、ぜひ!」
「じゃあ行こっか。少し距離があるから、車で行くよ」
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橋渡さんとは違って名前も分からない使用人さんの運転で、町外れに佇む高層マンションへやって来た。
どうして高層マンションなんだろう?
そう不思議に思いながら車を降り、警戒を怠らずに蒼凰さんの元へ行く。
蒼凰さんは手をふいっと動かして使用人に帰らせると、私の方を見て説明する。
「ここに族の仲間がいるから、行こっか」
「はいっ」
中に入ると、高い天井から大きなシャンデリアがぶら下がっていて、自分の場違い感に肩身が狭くなる。
でも蒼凰さんはズンズンと長い足で進んでいってしまうから、私は置いていかれないようについて行った。
エレベーターに乗って、蒼凰さんの右人差し指を追うと「10」のボタンを押していた。
どうやら十階まで上がるらしい。
会話は無いまま十階へ到着し、蒼凰さんはとある部屋の前に立ち止まる。
そして内ポケットから取りだしたカードキーをかざしてドアが開くと、中から「みんな〜、多分蒼凰来たよ〜」という声が聞こえてきた。