最強総長の愛するボディガード


その声で他の人も蒼凰さんたちに気が付いていき、挨拶の声が飛び交う。
それを笑顔で聞いている蒼凰さんたちの表情からは、この暴走族のことを大切に思っているのが窺えた。
声が静まってきたのを見計らって、蒼凰さんは大きな声で言う。



「お前ら!紹介したい子がいるから、よく聞いとけ!」



えっ、もしかしなくても、紹介したい子って私のことなのでは!?
これって何かした方がいいのかな?



そう慌てている最中も、こちらを見ている視線は増えていく。
どうすればいいのかと蒼凰さんを見ると、とんでも無いことを言ってきて。



「ほら心羽ちゃん、大きい声で自己紹介しよっか」
「え!?わ、私の声、絶対奥まで届きませんよっ」
「あぁ、少し前までメガホンがあったんだけど、拳銃を誤射した先にメガホンがあって貫いちゃったんだよね。それから買うのも面倒臭くてさぁ」



誤射って、理由が物騒すぎます……!
下手したら人を貫いてたかもしれないですよ……
ってそうじゃなくて!
私、どれだけ大きな声を出せばいいの!?



考える時間が欲しいのに、周りの視線が早くしろと急かしてきているみたいで、私はもうどうにでもなれ!と大きく息を吸う。

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