最強総長の愛するボディガード
「あっ、ありがとうございますっ……」
「アイツらうるさかったでしょ?疲れたと思うし、このくらいはさせてよ」
「いえそんなっ、みなさんとても気さくに接してくださって……」



き、気まずい……っ



そこから部屋に着くまでもまた会話は無く、私は蒼凰さんの顔色を窺うことしか出来なかった。
私の部屋の扉が見えてきて、やっとこの空気から抜け出せる、そう思ったのに。



「ねぇ心羽ちゃん、今は周りに使用人も誰もいないよ?」
「?はい、そうですね……」
「俺と二人きりなのに、何も思わないの?」
「……はい?」



何かと思えばそんなことを言ってきて、私は蒼凰さんの意図が分からず少しの間悩む。
そして出てきた答えがこれ。



「あ、何か話題があった方がいいですよね。じゃあ一週間ほど前に隣県で起きた山火事のことを……」
「いや、そうじゃなくて」



どうやら違ったみたい。
無言を気まずく思っていたわけじゃないなら、何も思わないの?ってどういう意味……



え?


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