最強総長の愛するボディガード

譲りたくないもの




彰人side



女は嫌いだ。
すぐ泣くから、擦り寄ってくるから、裏の顔があるから、自分のことしか考えていないから。
もちろん、全員がそうでないことは分かっている。
分かっているけど、一度でも体を蝕まれてしまえば、体も心も簡単には治らないのだ。



いつだったか、両親を亡くしたすぐ後だったから、きっと俺がまだ小学生の頃。
クラスのとある女子が、つい最近まで仲良くしていたはずのもう一人の女子をハブにし、悪口やら物を隠すやらで、その女子の居場所を無くしていった。
結果的にそのイジメは周りの大人に知られ、いじめた方の女子は指導を受け、いじめられた方の女子は転校することとなった。
この時はまだ、女子って怖いな、いじめられた方の親からしたらいい迷惑だな、くらいの他人事だと、そう思っていた。



俺が中学に上がって、まだ環境の変化にすら慣れていない頃。
俺は、周りから多くの視線を感じる気がしてならなかった。
ただ廊下を歩いている時や、授業中黒板を見ている時、いつだって。
その気味悪さに寒気を感じていると、とある日の昼休憩、クラスの女子が言ってきた。



「川名くん、今まで話したこと無かったけど、分かるよね?クラスメイトの遠藤愛梨。私川名くんと仲良くなりたくて、一緒にお昼食べたいんだけど……ダメかな?」

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