最強総長の愛するボディガード
初めての本気
蒼凰side
彰人や結斗と仲良くしている心羽ちゃんを見ていると、腹が立って、自分だけのものにしたくてたまらなくなった。
それは俺にとって初めてのことでは無い。
にも関わらず、今までどうしてそんな気持ちになるのか分からなかった。
けれどようやく、その感情の名前を知る時が来た。
俺がよく知っているようで、一番知らないそれは──
初めて自分に違和感を覚えたのは、俺が小学校高学年の時だ。
クラスメイトが「一緒にトイレへ行こう」、「今度の土曜日遊ぼう」と、他人と共に何かをすることを望んでいるのを見て、俺は思った。
どうしてだろう、と。
一人の方が気楽だし、一人でできる遊びも沢山ある。
自分一人なら、待ち合わせや約束をすることも必要ない。
なのにどうしてわざわざ人と過ごすことを望むのか、俺には全く理解出来なかった。
けれど周りを見てもそう思ってるような人はいなかったため、それに気がついた時、俺は猛烈な孤独感に襲われた。
おかしい自分は“普通”にならなければならない。
そう焦って、“愛”を知れば普通になれると思った俺は、小学校を卒業してから、何人もの異性と触れ合うようになった。
そういう場所へ夜な夜な出歩き、偽りの愛の言葉を囁き、相手は依存し、面倒になったらこちらから捨てる。
容姿に恵まれていた俺は、落ち着いた性格も相まって実年齢より大人びて見られ、年の離れた異性に気に入られることもあった。
そうしていくうちに、俺は段々と愛について分かるように……
なっていかなかった。
変化があったとすれば、何人の女を泣かせたのか分からないという、無知の要素が一つ増えたくらい。
それでも他の方法を知らない俺は、女遊びを続けていった。