最強総長の愛するボディガード
それは俺にとって予想外の出来事で、驚いて思わず声が出てしまうほど。
でもボディガード一日目から関係にヒビが入るのはよくないと思った俺は、こういう子もいるのかとスルーした。



自分に決定的な変化があったのは、その数時間後だった。
バーベキューの片付け中、昏のメンバーである結斗と心羽ちゃんが仲良くしているのを見ると、無性に腹が立ってきたのだ。
その理由は自分でも分からない。
だから心羽ちゃんに冷たくしてしまったり、その日の夜には無理やりキスをしようとしてしまった。
それにより心羽ちゃんが俺に惚れてくれれば、結斗と仲良くしている所を見て腹が立つこともないからだ。
けれど実際は心羽ちゃんにビンタされてしまう始末。
それに俺をイラつかせてくるのは結斗だけでなかった。



生徒会の仕事のせいでいつものように下校が遅くなり、アジトで心羽ちゃんを待たせてしまっているかなと、急いで1005の部屋へ行くと。



「……あれ?心羽ちゃん?」



心羽ちゃんのカバンはあるのに、そこには心羽ちゃんの姿は無かった。
名前を呼んで部屋の中を探してみても、心羽ちゃんは見当たらない。
何かあったのかと心配になって、俺は心羽ちゃんに電話をかける。
すると数コール鳴った後に、向こうと繋がった。
けれど聞こえてきた声は、心羽ちゃんのものではなく彰人のものだった。



『心羽じゃねぇよ』

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