最強総長の愛するボディガード
「あ、ありがとうございます」



なんという早業。
気づいた時には私のスーツケースが橋渡さんの隣にあり、挨拶もさせてくれそうにないスピードだ。
橋渡さんは、近くにいた使用人に「涼宮様のお部屋へ」と言ってスーツケースを預けると、「ではこちらへ」と私に微笑んだ。
見事な接待で、私はただ後ろをついて行く。
内装も素晴らしいモダンな邸宅に見惚れていると、橋渡さんは足を止める。
もう着いたのかと思ったらそうではなく、エレベーターで五階まで上がるらしい。



お家にエレベーター?
やっぱり普通じゃないよね、蓮見家って……



書類には任務内容が詳しく書いてあるだけで、蓮見家のことについてはあまり知らない。



今から分かるかな?



少し期待しながら、エレベーターで五階に上がり更に歩く。
そして今度こそ、橋渡さんは目的地の前で足を止める。



「よろしいですか?」
「はい」



私に了解を得ると、橋渡さんはその高級感漂う扉をノックして、「旦那様、お坊ちゃま、涼宮心羽様がいらっしゃいました」と中へ伝える。
すると中から「え?護衛はいらないって言って……」と声が聞こえて来たけど、構わず扉を開け、「どうぞ」と橋渡さん。
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