新そよ風に乗って ③ 〜幻影〜
ハッ!
自分で言って、今、もの凄く大胆なことを言ってしまったことに気づき、カーッと顔が熱くなった。
「お前さあ……。まーた、エッチなことでも考えてたんじゃないのか?」
うっ。
「な、何、言ってるんですか。だ、だって、高橋さんは何処で寝るんですか?」
何処で寝るんですかって……。これも、何だかエッチな考え?
「ハッ? 何? お前、俺と一緒に寝たいの?」
「た、高橋さん! 何、言ってるんですか」
もお、何なのよお。どうしよう。ああ、大変だ。自分から、墓穴掘ってる。
な、何か、話題変えなければ。
うわあ、こんな時に限って、何も思い浮かばない。
どうしよう……。何か、ないかな。
えーっと……。
「フッ……。だいたい、お前が考えてるようなエッチなことをしたりしたら、俺は絶対お前の足をもっと悪化させるぞ?」
「なっ……」
何てことを……高橋さん。
あっ、そうだ。思いついた。いつか、高橋さんに聞いてみたかった。
「それこそ明良に何言われるか、分かったもんじゃない」
「ち、違います。そうじゃないんです。私が言いたかったのは……」
「なーにが、違うんだ?」
ああ、もしかして。というか、絶対お見通しの気がするけれど、ここは怯んじゃ駄目。
「あ、あのですね。私、いつか高橋さんにお伺いしてみたかったことがありまして……」
「ん? 何だ?」
高橋さんは、今まで茶化すように言っていたのに、優しく問い返してくれた。
「あの……。もし、もし応えられなかったら、スルーして下さっていいのですが、どうして新入社員の時、私を人事部に配属されたんですか?」
いつか、機会があったら聞いてみたかった。
「……」
高橋さん?
高橋さんは黙ったまま、ジッと私を見つめている。
もしかして、聞いたらいけなかったのかもしれない。やっぱり人事的なことだし、当人には話せないのが普通だよね。
「す、すみません。こんな仕事の話、いきなりしたりして申し訳ありませんでした。忘れて下さい」
口にしたことで、あの本配属の辞令をもらった時のことを思い出してしまった。
凄く驚いて、高橋さんや中原さんと別れるのが哀しくて、辛くて仕方なくて……。
思い出しただけでも、また胸が詰まってしまい、高橋さんに変なことを聞いてしまった後悔も手伝って、目尻から涙が耳の傍を伝っている。泣き顔を見られたくなくて、慌てて布団を被ろうとした。
「おやすみな……キャッ……」
しかし、途中で高橋さんに布団を引っ張られてしまい、泣き顔を見られてしまったみたいだった。
「また泣く……」
高橋さんは、目尻を伝う涙をそっと中指で拭ってくれると、もう1度ベッドの縁に腰掛けた。
「それなら聞くが、人事の仕事をしたことは、お前にとってプラスになったと思うか?」
自分で言って、今、もの凄く大胆なことを言ってしまったことに気づき、カーッと顔が熱くなった。
「お前さあ……。まーた、エッチなことでも考えてたんじゃないのか?」
うっ。
「な、何、言ってるんですか。だ、だって、高橋さんは何処で寝るんですか?」
何処で寝るんですかって……。これも、何だかエッチな考え?
「ハッ? 何? お前、俺と一緒に寝たいの?」
「た、高橋さん! 何、言ってるんですか」
もお、何なのよお。どうしよう。ああ、大変だ。自分から、墓穴掘ってる。
な、何か、話題変えなければ。
うわあ、こんな時に限って、何も思い浮かばない。
どうしよう……。何か、ないかな。
えーっと……。
「フッ……。だいたい、お前が考えてるようなエッチなことをしたりしたら、俺は絶対お前の足をもっと悪化させるぞ?」
「なっ……」
何てことを……高橋さん。
あっ、そうだ。思いついた。いつか、高橋さんに聞いてみたかった。
「それこそ明良に何言われるか、分かったもんじゃない」
「ち、違います。そうじゃないんです。私が言いたかったのは……」
「なーにが、違うんだ?」
ああ、もしかして。というか、絶対お見通しの気がするけれど、ここは怯んじゃ駄目。
「あ、あのですね。私、いつか高橋さんにお伺いしてみたかったことがありまして……」
「ん? 何だ?」
高橋さんは、今まで茶化すように言っていたのに、優しく問い返してくれた。
「あの……。もし、もし応えられなかったら、スルーして下さっていいのですが、どうして新入社員の時、私を人事部に配属されたんですか?」
いつか、機会があったら聞いてみたかった。
「……」
高橋さん?
高橋さんは黙ったまま、ジッと私を見つめている。
もしかして、聞いたらいけなかったのかもしれない。やっぱり人事的なことだし、当人には話せないのが普通だよね。
「す、すみません。こんな仕事の話、いきなりしたりして申し訳ありませんでした。忘れて下さい」
口にしたことで、あの本配属の辞令をもらった時のことを思い出してしまった。
凄く驚いて、高橋さんや中原さんと別れるのが哀しくて、辛くて仕方なくて……。
思い出しただけでも、また胸が詰まってしまい、高橋さんに変なことを聞いてしまった後悔も手伝って、目尻から涙が耳の傍を伝っている。泣き顔を見られたくなくて、慌てて布団を被ろうとした。
「おやすみな……キャッ……」
しかし、途中で高橋さんに布団を引っ張られてしまい、泣き顔を見られてしまったみたいだった。
「また泣く……」
高橋さんは、目尻を伝う涙をそっと中指で拭ってくれると、もう1度ベッドの縁に腰掛けた。
「それなら聞くが、人事の仕事をしたことは、お前にとってプラスになったと思うか?」