来る日も来る日もXをして
「・・・写真撮ってもいい?」

「え・・・。」

写真はすごく苦手だった。皆で撮るのはまだいいけれど一人で撮るのは特に。自撮りなんて一度もしたことがない。愛来(あいら)ちゃんはよくSNSに自撮りをアップしていてすごいなと思っていた。

「先輩も一緒に写ってくれるなら。」

「俺は普通の格好だし、更科だけの方が絵になるから。」

「もしかして実は写真苦手だったりしますか?」

「うん・・・飲み会の時とか『ウェーイ』みたいな感じでセンターで写ってたりするけど、本当はかなり無理してる。」

「私も苦手だから、苦手同士一緒に撮りましょうよ。」

「更科一人の写真も撮らせてくれるなら。」

「譲りませんね。」

「譲らないよ。」

真剣な顔で言い合ってから、ぷっと同時に笑いが漏れる。心の中で甘い果実が弾けたみたいに感じる。

「その写真、先輩だけしか見ないなら・・・。」

「もちろん、誰にも見せたくないよ。俺だけが・・・」

先輩はきっぱり言いかけてから頬を赤らめてまた私から視線を外す。

「あぁ、でもばあちゃんには見せたいかも。ここに行ってきたんだよって。ばあちゃんも気になってたみたいだから。」

「それなら、町並みの写真だけでよくないですか?」

「いや、その・・・更科のこともばあちゃんに見せたいっていうか・・・。」

「そ、そうなんですか・・・。」

───それってどういうこと・・・?

「じゃ、早速撮ろう。」

明日先輩はごまかすように言うと私に背を向け歩きだした。


まず先輩が私の写真を撮ってから同じように観光をしていたカップルにふたりの写真を撮ってもらった。確認した写真はどちらも明らかにぎこちない。けれど撮って良かったと思えるものだった。
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