暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「一応、君の前職での評判なんかも聞き取りさせてもらったんだ」
「えっ」

正直驚いた。
考えてみれば、一条プリンスホテルほどの企業に途中入社するのはそう簡単なことではないのに、随分すんなり決まったなとは思っていた。
いくら重さんが一条コンツェルンの総帥だからと言って簡単すぎるなと感じてもいた。
やっぱり、水面下で調べられていたんだ。

「気を悪くしないでほしいんだけれど、一条コンツェルンは沖縄にもホテルや会社を持っているし、実際君が勤務していた会社とも取引があるんだ。だから君のことを聞いたみたってだけで、深い意図はない」
「はあ」
そうですか。

確かにあまりいい気分ではないけれど、当然のことのような気もする。
それにしても、一体どんなことを言われたんだろう。

「大丈夫。心配しなくてもとっても評判がよかったから」
「本当ですか?」
私にだって苦手な上司はいたから、必ずしもいい評判ってことはないと思うけれど。

「本当だよ。沖縄の太陽みたいに明るくて元気な女の子だって言っていた」
「はあ・・・」

それって誉め言葉かな?
10代の頃ならいざ知らず、26にもなって太陽みたいに元気なとか、少し痛いな。
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