薙野清香の【平安・現世】回顧録
「何が可笑しいのよ!」
清香が頬を真っ赤に染めると、それが作用したのだろうか。崇臣にしては珍しく、穏やかな笑みを浮かべた。次いで清香の頭がポンポンと撫でられる。大きくて温かい手のひらだった。清香の心臓が小さく跳ねた。
(この男はまた!……すぐそういうことする)
きっと、ただパーソナルスペースが狭いというだけで、本人は何とも思っていないのだろう。けれど、触れられる方は心臓がもたない。相手に“その気がある”と勘違いさせるには十分なように清香は思う。
(いや、むしろ狙ってやっているのではないだろうか)
だとすれば随分と罪作りな男である。そんなことを思いながら、清香はぐっと唇を引き結んだ。
「清香は、芹香が聡明だと、そう思っているんだよな」
「そうよ。美しくて、賢くて、素晴らしく頭の切れる子なんだから!」
崇臣の問いかけに、清香はキラキラと瞳を輝かせなが力説した。崇臣はふぅ、とため息を吐くと、軽く目を瞑った。
「俺の主もまた、聡明でいらっしゃるのだ」
「知ってるけど」
前世の東條もまた、見識深く、とても聡明だった。きっと現世でもそれは変わらないと清香は思う。
清香が頬を真っ赤に染めると、それが作用したのだろうか。崇臣にしては珍しく、穏やかな笑みを浮かべた。次いで清香の頭がポンポンと撫でられる。大きくて温かい手のひらだった。清香の心臓が小さく跳ねた。
(この男はまた!……すぐそういうことする)
きっと、ただパーソナルスペースが狭いというだけで、本人は何とも思っていないのだろう。けれど、触れられる方は心臓がもたない。相手に“その気がある”と勘違いさせるには十分なように清香は思う。
(いや、むしろ狙ってやっているのではないだろうか)
だとすれば随分と罪作りな男である。そんなことを思いながら、清香はぐっと唇を引き結んだ。
「清香は、芹香が聡明だと、そう思っているんだよな」
「そうよ。美しくて、賢くて、素晴らしく頭の切れる子なんだから!」
崇臣の問いかけに、清香はキラキラと瞳を輝かせなが力説した。崇臣はふぅ、とため息を吐くと、軽く目を瞑った。
「俺の主もまた、聡明でいらっしゃるのだ」
「知ってるけど」
前世の東條もまた、見識深く、とても聡明だった。きっと現世でもそれは変わらないと清香は思う。