薙野清香の【平安・現世】回顧録
(でも私、宮仕えを辞めてからの崇臣のこと……ちゃんと知らないのよね)
清香の宮仕えは、芹香が皇后の地位を失った時に終わった。だから、その後の宮廷の事情について、詳しくはない。調べれば辛いこともあろうと、敢えて知らないままにしてきたのだが。
(今度調べてみようかな)
そんなことを考えながら、清香はボンヤリとモニターを見つめ続けた。
日がどっぷり暮れたころ、東條と崇臣は帰ることになった。
東條は薙野家の猫、ミョウと芹香との逢瀬を目一杯楽しんだようだ。けれど、それでも名残惜しいのか、帰り際にはミョウを抱き締めながら、何度もモフモフと顔を埋めていた。
東條家では猫を飼っていないらしく、こんな様子の主人はレアらしい。崇臣は身もだえながら、嬉しそうに瞳を輝かせている。
姉のせいで変態に耐性がある芹香は、普通ならば引くであろう崇臣の様子を気にも留めない。
「今度はね、一緒に猫カフェ行くんだ」
そう言って幸せそうに笑う妹はあまりにも美しく。まるで初孫を愛でるジジババかのように笑う清香を、崇臣が呆れたように見下ろしていた。
清香の宮仕えは、芹香が皇后の地位を失った時に終わった。だから、その後の宮廷の事情について、詳しくはない。調べれば辛いこともあろうと、敢えて知らないままにしてきたのだが。
(今度調べてみようかな)
そんなことを考えながら、清香はボンヤリとモニターを見つめ続けた。
日がどっぷり暮れたころ、東條と崇臣は帰ることになった。
東條は薙野家の猫、ミョウと芹香との逢瀬を目一杯楽しんだようだ。けれど、それでも名残惜しいのか、帰り際にはミョウを抱き締めながら、何度もモフモフと顔を埋めていた。
東條家では猫を飼っていないらしく、こんな様子の主人はレアらしい。崇臣は身もだえながら、嬉しそうに瞳を輝かせている。
姉のせいで変態に耐性がある芹香は、普通ならば引くであろう崇臣の様子を気にも留めない。
「今度はね、一緒に猫カフェ行くんだ」
そう言って幸せそうに笑う妹はあまりにも美しく。まるで初孫を愛でるジジババかのように笑う清香を、崇臣が呆れたように見下ろしていた。