ひと駅分の彼氏
☆☆☆

そして翌日。


よく晴れた休日だった。


私は真琴のとの約束場所である駅前へと向かった。


本当は直接どちらかの家に行けば良かったのだけれど、真琴は昨日のうちに手土産を用意することができなかったから、今朝買いに行くことにしたらしい。


そんなに気にする必要はないと言ったのだけれど、真琴は決して譲らなかった。


そういうところが几帳面で、真面目な性格をしていた。


駅前で5分ほど待っていると真琴がやってきた。


右手には白い紙袋を下げている。


「ごめん。少し遅れた」


額に汗を滲ませ、息を切らしてかけて来る。


少しでも時間に間に合うように一生懸命走って来てくれたのがわかって、胸の奥が柔らかくなる。


「少しくらい平気だよ。それ、おばあちゃんに?」


私は右手にしっかりと握りしめられている紙袋へ視線を向けた。


「あぁ。春風堂のおまんじゅうなんだ」


「わざわざあそこまで行ってくれたの!?」
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