ひと駅分の彼氏
☆☆☆

その日は学校に居ても常にぼーっとしていて集中力がなく、何度も先生に注意されるはめになってしまった。


挙句の果てにはどうして自分が注意を受けているのかわからなくなる始末だ。


せっかく受験勉強を再開したというのに、このままではいけないとわかっている。


それでも毎日一駅分しか会えない真琴の存在に、私は少しばかり苛立ちを感じ始めていたのだ。


最初は真琴が戻ってきてくれただけで嬉しくて、元気が出て、勉强だって再開することができた。


だけど今日は違う。


どうしてもっと一緒にいてくれないのかという不満の方が強くなってしまったのだ。


「私はわがままになったのかな」


呟き、スカートのポケットに入れているスマホにふれる。


これで真琴に連絡を入れれば、きっとそんな不満は消し飛ぶはずだ。


真琴のことだから私からの連絡はちゃんと返してくれるはずだし、それなら怖がらずに連絡してみればいいだけだ。


頭では理解しているのに、なかなか実行にうつすことができない。
< 67 / 108 >

この作品をシェア

pagetop