甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
突然だった────
次の日のまぁまぁ長い昼休み。
私は購買で買ったパンも平らげ,もーちゃんと2人,窓際に並んで立っていた。
2年の階に,少しずつざわめきが広がっていくのを感じて,私達は自然と会話を止める。
ーね,ねぇあの子って……!
色めき立つその声に,正体は人だと知り。
釣られて正面を向いた私は,人の多い廊下を注視した。
ひょこっと。
この教室までもそうして来たのか,とうとうその人物が姿を現す。
誰かを探すように,上半身を傾けたままキョロキョロする彼は。
それを他人事に見ていた私に目を留めて。
その次にはニッコリと笑った。
周りが嬉しそうに騒ぐ。
や,何してんの? 十和。
下級生が訪れる事など滅多にない。
珍しいから騒いでたのかなと思うものの,昨日散々『十和と言う人間』についてもーちゃんに聞かされたので,考えを改める。
単に,十和が人気なのか。
目の当たりにして,私は初めてその事実を飲み込んだ。
確かに,かっこいいよなぁ。
あ,可愛いだっけ。
でも,確かに格好いいも含まれるんだろうな。
笑顔が胡散臭いと思いつつも,誰に用だろうと,適当に手を振ってみた。