甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
「……お疲れ。また明日ね,鈴村さん」
「あ,うん。ばいばい竜田川くん」
同じクラスなのかな,私はそっと見守る。
やっぱり,十和はそんな感じなんだ……
その間,私は色んな十和の事を考えた。
私に見せる十和から……玲央也くんや理苑くんにするよりずっと,女の子に対する態度の方が強く離れている。
どれが1番,素の十和なのかな。
あっさりと去っていこうとする鈴村さん。
私は揺れる赤色に目を止めて,あっと声をあげた。
「ねぇまって」
振り返った拍子に舞った鈴村さんの髪に触れ,まず耳にかける。
驚いた様子の鈴村さんを目の端で捉えながら,私は手を動かした。
「呼びためちゃってごめんね……! 私がぶつかったせいで,リボン曲がっちゃったみたい。……はいっもういいよ,可愛い。ぶつかっちゃってほんとにごめんね」
私も自分の横髪を耳にかけながら,もう一度鈴村さんに謝る。
自分のリボンまで確認した時になって,初めて鈴村さんが離れていかないことに気がついた。
背の小さい彼女の顔が,今は私にしか見えていない。
ポンっと蕾が出るように赤くなった鈴村さんの顔。
私は驚いて,凝視してしまった。