スキがない総長の大胆な溺愛
自称「月光」が、まとめて襲ってくる。

それはいくつかの修羅場を越えた蒼羽にとっては平気な事かもしれないけど、一般人の優利にとっては身も震えあがる光景だった。



「おい、夜野…!」



と、情けなく叫ぶ自分の声を聞いて。

逆に優利は冷静になり、さっき兄に言われた言葉を思い出す。



――ヤツらを完膚なきまでボコって、寝言も言えなくしてやれ



「(ヤツ”ら”か…)」



優利の口元に、情けない笑みが浮かぶ。


自分の弟だというのに、一切の躊躇なく仲間に「倒せ」と命令する兄。

嵐太にとって自分は何の価値もない他人同然だったのだと…愕然とした。


だけど、


それよりも絶望しているのは…
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