スキがない総長の大胆な溺愛
「優利と蒼羽が決闘…?なにそれ、どういう、」



その時、蒼羽のお腹に、重い一撃が入る。

その拳の下にはガーゼ。

つまり…怪我をした所。



「っ!!」



さすがに顔を歪めた蒼羽を、敵は見逃さなかった。

そして…形成逆転の兆しは、蒼羽がお腹を押さえて顔を歪めた、今この瞬間から始まる。



「随分痛そうだなア?夜野」

「痛がってるように見える?眼科に行った方がいいよ君」



だけど、私の目にも…蒼羽はダメージを受けているように見える。

横顔に流れる、汗。

それは紛れもない、冷や汗。



「蒼羽!逃げて!」



お腹の傷に当たったんだ…!

きっと…ううん、絶対ものすごく痛いはず…!



「蒼羽!」



叫ぶ私の横で、優利が声を出した。

そして、

震えながら言った優利の言葉に…思わず耳を疑う。



「俺を庇って受けた傷が…っ」
< 176 / 235 >

この作品をシェア

pagetop