スキがない総長の大胆な溺愛
「……そっか」



唐突な話に、何か反論するわけでもなく。

春風さんは目を伏せて穏やかに笑った。

そして「本当、二年前を思い出すよ」と…そう零す。



「昔の俺は素直じゃなかったからさ…先輩から見て…可愛くない後輩だったと思う」


それでも可愛がってくれた先輩がいたから、あの時の俺に居場所があったんだと思うよ


「昔、夜野に会った時…何も信じられないような目をしていた」

「蒼羽が…」

「今も名残はあるんじゃない?」



確かに…。

蒼羽が「何を考えているか分からない」のは、全然自分を見せてくれないからだと思う。

そうか…自分を見せてくれなかったのは、蒼羽が何も信じられなかったからなんだね…。



「夜野はどうなるかなって、あの時の俺は気にしてたけど…。でも、杞憂(きゆう)だった」
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