スキがない総長の大胆な溺愛
けど無意味と分かっていても……と、優利は手のひらに滲んだ汗を拭う。



「俺は明里が好きなんだって…さっき危うく言いそうになった」



思いとどまったのは、蒼羽のあの一言。



――君は君だよ。嵐太とは違う



「はぁ」と優利はため息をつく。


あの一言を、どうしても裏切ることが出来ないんだ、と。


笑みを浮かべながら、ポツリと零した。



「新しい絆も悪くない…か。

明里を頼むからな、夜野」



その顔には、曇りのない笑顔。

雲一つない快晴だった。







一方――


優利と話し終わった私は。



バタン



「遅い。3分遅刻」

「(きっちり測ってたんだ)」



玄関で待ち構えていた蒼羽を見て、思わず笑ってしまう。



「ずっとここにいたの?」
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