スキがない総長の大胆な溺愛
「もういい、暴走族なんて知らない。
蒼羽の事も、もう知らない…!」
「……あ、そう」
布団の中に潜った私に、蒼羽は一度だけため息をつく。
そして、次に掛けた言葉は…
「今日の天気は雷だね」
それだけ残して、蒼羽は部屋を出た。
すると部屋はまた、元の静けさを取り戻す。
「(雷…?夕立(ゆうだち)でも来るの?)」
布団から出て、窓から外を見る。
だけど、空に輝く一番星を見つけてしまった。
「うそつき…晴れじゃん」
やっぱり蒼羽の事は分からない――
腹が立ったので、その後。
ふて寝という二度寝を決め込む。
その時に、
「そういえば…どうして蒼羽は、優利があの病院に入院してるって知ってたんだろう?」
なんて。そんな疑問を抱いたけど…。
蒼羽と話をする気になれなくて。
徐々に上がって来た熱に気づかないまま、眠りについたのだった。