とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
両親が涙を流しているのを見たのは、この時が初めてだったかも知れない。


たぶん、そう。


いつだって私には笑顔しか見せずに頑張っていたから。


2人のこんな安心した顔が見れて、私も改めて龍聖君に感謝した。


お互いの両親に本当のことを言えないのは申し訳ない気がしてるけど、これで良かったのかなって。


これからは、少し自分のことも改めてゆっくり考えていきたい。


私と龍聖君の契約結婚。


これからの日々、嬉しさや恥ずかしさ、不安もいっぱいある。


それに、先は全然見えない。


でも、きっと大丈夫、大丈夫って……


龍聖君が言ってくれた言葉を、何度も自分に言い聞かせてる。


せっかく用意してもらった結婚生活なんだから、たとえそれが偽物だとしても、ほんの少しは楽しみたいなって……


今、ようやくそう思えた。


私達の新たな人生は、慌ただしく嵐のようにスタートし、ここから1歩ずつ動き出していく……
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