とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「鳳条 琴音」、いつまでその名前でいられるのか、そう思うと碧にだけは本当のことを伝えておきたかった。


両親と同じく、大切な仲間を騙してることに罪悪感を感じてしまう。


でも……やっぱりまだ言えない、ごめんね、碧。


次は……


ずっと返事を待ってくれてた綾井店長。


緊張したけど、キチンと報告をし、相手が誰なのかも話した。


『正直、ものすごく驚いたよ。突然過ぎて』


『すみません。本当に……急に色々なことが進んで』


『鳳条グループの御曹司との結婚なんて、そんな素晴らしいことなら本当は祝福したいよ。でも……相手が誰だろうが、すぐに君を諦めることはできない』


『店長……』


綾井店長の真剣な表情、なぜそこまで私のことを想ってくれるのか未だにわからないけど、今はもうその想いに応えることはできない。


『とにかく、その報告は聞いておくね。ただ、大切な人材である君に今辞められると困るし、仕事は続けてもらいたいな。いいかな?』


『……あ、はい。仕事に関しては責任を持って頑張りたいと思ってます』


『良かった。これからも頑張って』


『ありがとうございます。急にすみませんでした。よろしくお願いします』
< 123 / 276 >

この作品をシェア

pagetop