とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
確かに一瞬退職も考えたけど、1年後、もし自分が1人になってしまった時のことを考えれば、この仕事から離れてしまうのが不安だった。


この仕事が好きで、同僚との関係も良好で、私は「AYAI」で働き続けることを選んだ。


綾井店長は、私に何か言ったり、もちろん何かしたりすることもなく、普通に接してくれる。


一旦両親のことが落ち着いたとはいえ、仕事にも一生懸命取り組んでいる。


今まで通り何も変わらない日々を送れてることに感謝の毎日だ。


お店の横に佇む散ってしまった桜の木。


この木が、来年また美しい花を咲かせるために頑張ってるんだと思うと、私もしっかりしなきゃと力をもらってる。


そんな何気ない毎日を積み重ねているうちに、綾井店長には私への想いを消して、新しい恋を見つけてほしい。


切実にそう願う。


だって、店長みたいな男性には、もっとレベルの高い素敵な女性がお似合いだから。


必ず最高のパートナーが見つかるって信じたい。
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