とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
何を言っても絶対に納得しない姉さん。


あまりにも色々言われ続け、私はとうとう本当のことを話してしまった。


私達が「契約結婚」であることを。


「おかしいと思った。お金のために嘘の結婚をしたわけね」


「お願い、龍聖君には何も言わないで。龍聖君だけじゃない、絶対に誰にも迷惑かけたくないの」


「政略結婚なんていつの時代よ。あんな工場を立て直すためだけの結婚なんて、あなたよくできるわね」


「政略結婚って……私は、ただお父さんが大切にしてる工場を守りたかったの。お互いの両親のためでもあるの」


「何を言い訳したところでお金が欲しかっただけじゃない。本当にバカな子ね。でもまあ、そういうことならわかったわ」


涼香姉さんは、私のことを鼻で笑いながらそう言った。


理由を聞いてあっさり納得した姉さんの意図はわからないけど、とりあえず、話を終えることができてホッとした。


涼香姉さんと話して、色々思い知らされた気がする。


自分のダメなところを再認識して、また落ち込んでしまった。


でも、もう……今さら後には戻れないから。
< 126 / 276 >

この作品をシェア

pagetop