とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
そばにいられるだけで
マンションの部屋に2人でいることに正直まだ慣れない。


不思議な感覚。


だけど、龍聖君のお休みが少ない上に曜日もバラバラだから、休日が合うことはほとんどないし、一緒に暮らしていても、それぞれの部屋があって顔を合わせないこともよくある。


龍聖君は仕事を持ち帰ってくることが多く、そんな時はほぼ自室にこもりきりになるし。


顔を合わせたらドキドキするから、これくらいの距離がちょうど良いのかも知れないけど……


食事はデリバリーだったり、私が作ったりするけど、ゆっくり会話はできない。


食べればまた仕事、お風呂も私が眠ってから入ってるんだと思う。


おかげで私のスッピンを見せる頻度が少なくてホッとしてるけど。


そんな状況だから、この数週間、手を繋ぐことも体に触れることもなく……


それでも、これは「契約結婚」なんだと思うと納得できた。


本当の夫婦じゃないのに、自分から何かを求めることはしちゃいけない。


一緒の空間にいられるだけで、私は……1人幸せを感じていられた。


それだけで十分だった。
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