とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「えっ……」


「私にも……色々な思いがあったんだよ。だけどね、やっぱり、家族になりたかったから。何があっても絆で結ばれてる、仲の良い、大切な家族に」


みんながそれぞれの思いを吐露した。


ずいぶん長い間、すれ違ったまま口にしてこなかった思い。


それを今ようやく言葉にできたんだ。


「本当なら、もっと早くにこうして話すべきだった。全部、私が悪いんだ。工場が大変で、そのことばかりが頭の中にあって。あんなにいつも桜の木に誓っていたのに……どんなことがあってもあきらめないって。なのに……ずっと『家族』になることをあきらめていた」


お父さんは肩を落とした。


「あなただけが悪いわけじゃないわ。私も……同じ。ダメな母親だったわ」


確かに、もっと前からずっと笑い合っていられたら、どんなに良かっただろうと思う。


でも、今からでもいいよね?


今からでも全然、遅くないよ、きっと。


「とにかく、今は龍聖君のおかげで工場の経営は十分過ぎるくらい潤っている。これからはもっと良いものを作っていきながら、今までの何倍も家族を大切にするつもりだ。約束するよ。そうだ、琴音が海外から帰ってきたら、みんなで家族旅行でもしよう」
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