とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
あっ、姉さん……


頬に流れたひとすじの涙。


私、初めて見たよ、涼香姉さんが泣くところ。


やっぱり、美人さんの涙は……ものすごく綺麗なんだ。


「桜と水族館、お母さんの好きな懐石料理も食べられるような旅館に泊まろう。琴音、なるべく早く帰ってきてくれよ」


「うん、日本に戻る楽しみができたよ。本当に……すごく嬉しい」


私までグッと熱いものが込み上げてくる。


こんな時が来るなんて、ついさっきまで全く思ってなかったのにね。


「あのね、だから、私はまだ行くって言ってないわよ」


「早速、場所を探さないとな。昔から行ってみたいところがたくさんあるんだ」


「数年先の話なのに、全くお父さんたら気が早いんだから」


お母さんがニコッと微笑む。


「早い方がいいだろ? どうせなら広くて豪華な旅館がいいな。部屋に露天風呂があればなおさら良い」


「ねえ、聞いてる? 私のこと見えてないの?」
< 239 / 276 >

この作品をシェア

pagetop