とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
姉妹だからこそ
今日は朝からずっと雨。


1日中、雨予報だ。


さすがにこの土砂降りでは来ないだろう。


「琴音」


ドアを叩く音と共に聞こえた声。


嘘、まさか来たの?


案の定、インターフォンには涼香姉さんの顔が。


仕方なくドアを開けると、転がり込むような勢いで飛び込んできた。


「もう、何なのよ、この雨。バスタオル貸して」


「ちょっ、ちょっと待ってて」


慌ててバスタオルを取りにいくと、もう部屋の中に入ってきてた。


私の手からバスタオルを奪い取ると、ショートの髪をバサバサと拭いた。


「こんな雨の中、どうしたの? 何かあったの? 仕事は休みなの?」


「嫌だ、このスカート3万もしたのにこんなに濡れちゃって。そうだ、シャワー浴びさせて。そのうち乾くでしょ」


「シャワー? でも、帰る時にまた濡れちゃうわよ」


「帰りはタクシーで帰るから。そうだ、シャワーの間にピザを注文してちょうだい。そうね、シーフード以外なら何でもいいわ。2枚お願い」


涼香姉さんは、床が汚れることなんてお構い無しにそのまま浴室に向かった。
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