もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「いやあああ!」

 最近はまっている遊び──もとい、いたずらを邪魔された優史が背中をのけぞらせて叫ぶ。まるで陸に打ち上げられた魚のようだ。

 優史の勢いよく動かした足があたり、大和が顔をしかめる。

「こら、ユウ。ママを困らせないって約束しただろ」

「やまとくんきらいいい」

「そんなこと言わないの。おいで」

 優史に向かって両手を広げると、私のもとへ来たがって手足をばたつかせた。

 あきれた顔の大和から優史を受け取ると、すぐに胸に顔を押しつけてくる。

 それだけでなく、背中に脚を絡めてコアラのようにしがみついてきた。

「ユウくん、やまとくんきらい」

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