もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 優史がぐずりながら私の胸に顔を埋めて訴える。

 よしよし、と背中をなでてあやしながら、迷惑を被った大和と苦笑を交わした。

「でも、ユウくんが悪いことをしたんじゃない? ティッシュで遊ぶのはだめだよって、ママも言ったよね?」

「いってない!」

 そろそろ三歳になるかどうかという年齢なのに、こんなにはっきり自分の意思を示すものなのかとちょっと感心する。

「ユウくんわるくない!」

「そっか。じゃあ『怖い怖い』に聞いてみる?」

「やだ!」

 ますます優史が私にしがみついて、勢いよく首を横に振る。

 私の言った『怖い怖い』とは、大和が友達にもらった大きなウサギのぬいぐるみのことだ。
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