もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 そうはいっても、私は蒼史さんと子供まで作ったのに彼に詳しいわけじゃない。もしかしたら勝手に想像しているだけで違う性格なのかもしれなかった。

「君は」

 不意に蒼史さんが私の手を両手で包み込んだ。

 突然彼のぬくもりを感じて心臓が大きく跳ねる。

「俺に愛されることだけ考えていればいい」

「は、はい」

 これが契約結婚する相手じゃなかったら、彼の顔を見られなくなるほど甘くときめく言葉だった。

 私が声を呑み込んでうつむくだけで済ませられたのは、言葉通りの意味ではないとちゃんと理解していたからだ。

 ……それでも充分すぎるくらい、冷静さを奪われてしまった。

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