もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「相変わらず他人の面倒を見るのが好きなようだ」

 蒼史さんは私の肩を掴んでいた手を放すと、私にとって見慣れた白衣の襟を軽く整える。

 なにげなくその動作を目で追って、凍りついていた心臓が止まりそうになった。

 左手の薬指に鈍く光る指輪。そこに指輪をはめる理由なんて、ひとつしかない。

「今はこの病院に勤めていらっしゃるんですね」

 その指輪はいつからしているんだと聞きたい気持ちを抑え、久々に会った者としてふさわしいあたり障りない会話を切りだす。

「普段は八柳総合病院にいる。来週の手術のために呼び出されてな」

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