もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 信じられないものを見るように、切れ長の瞳が私を捉える。

 彼こそが優史の父であり、今も私の心を掴んで離さない八柳蒼史さんだ。

 どうしよう。彼ともう会う日は来ないんだと思ってた。

 もし会うとしたら、なにを言うか決めていたんだっけ?

「お久しぶりです、八柳先生」

 努めて冷静に、声が震えないようにお腹に力を入れて挨拶をする。

 私は今、うまく笑えているだろうか?

「……ああ、久しぶりだな」

 私を見て浮かべた驚きの表情が幻のように消える。

 そのせいで彼が偽装恋愛の元恋人と四年振りに再会し、どんな感情を抱いたかが読み取れなくなった。

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