もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 医者として当然の素っ気ない白衣でさえ、蒼史さんが身につけると危険な色気を醸しだす。通りかかる患者や見舞客が彼に視線を向けるのも無理はない。

 私が彼を忘れるには四年では短すぎたのだと思い知らされる。

 自分でも気づかないほどくすぶっていた小さな恋心が、彼を前にして再び大きくなるのを自覚せずにはいられなかった。

 だけど私たちの関係は四年前に終わっている。ほかでもない彼が終わらせたのだ。

「相変わらずお忙しそうですね」

 視線は自然と蒼史さんの左手の薬指に固定されていた。

 彼の指にしっくりと似合うシンプルな銀色の指輪にはつがいとなる片割れがあるはずだ。

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