もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 どんな相手なのか気になって仕方がない。

 結婚しないために偽装恋愛までした彼の心を変えるほど、素晴らしい女性なのだろうか?

 ……どうして彼の隣を許された女性は私じゃないんだろう。

「勘違いするな」

 背筋が冷えるほど鋭い声が聞こえ、一瞬息が止まる。

「これは違う。カモフラージュだ」

 なんの話だと聞きかけて、彼が左手を右手で隠したところを見る。

「カモフラージュ……?」

「君は俺が結婚したくない理由を知っているだろう。それとも忘れたのか?」

「覚えてます、けど……」

 答えるのが精いっぱいになるくらい、安堵で全身が満たされていく。

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