もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 だったらかつて偽装恋愛したときのように協力した方が蒼史さんにとって都合がいいだろう。

 軽く蒼史さんの腕を押しのけ、女性とちゃんと向き合ってお辞儀をする。

「いつも夫がお世話になっております」

 腰に回された蒼史さんの腕に少し力が入ったのがわかった。

「……そんな相手がいるならもっと早く会わせてくれればよかったじゃない。いつまでも焦らすから、そういう駆け引きなんだと思ったのに」

「最初から君とは結婚できないと言っていたはずだ。わかったら帰ってくれ。病院にまで来るなんて迷惑だ」

「……わかったわよ」

 女性は納得いかない表情で私を見る。

< 62 / 281 >

この作品をシェア

pagetop