もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 腰に回された腕がさらに私を引き寄せ、背伸びを促すように軽く持ち上げられる。

 なにが起きているのかわからないまま彼の動きに従った結果、信じられないほど甘い熱を唇に感じた。

 ……キス?

 触れている間はきっと一瞬だっただろうに、私にとっては永遠にも感じられた。

 呆然とする私を抱きしめ、蒼史さんは女性に言い放つ。

「まだなにか言いたいことがあるのか?」

「嘘、本当に奥さんがいるなんて……」

 身体に感じる彼のぬくもりと、唇に落ちたキスの感触にまだ頭が追い付かない。

 だけど私は彼らのやり取りから、どうやら蒼史さんが過去そうだったように困っているらしいと判断した。

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