もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 マニュアルを読んでいるかのような無機質さだけど、彼の説明はいつも丁寧すぎるくらい丁寧だった。

 そこまで説明しなくても理解できるだろうに、と思うこともあるほどだ。

「困ったな。歩けなくなったら姉ちゃんが泣きそうだ」

 きっと苦笑いをしているのだろう大和の声がする。

「そうならないよう、私も力を尽くします」

「先生は奇跡ってあると思います? もしくは神様っていると思いますか?」

「難しい質問ですね。正直に言うと、どちらもあまり信じていません」

 カーテンの向こうから聞こえてくる声に耳を傾け、意外だなとこっそり思う。

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