もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「明確にどうだとは言えませんよ」

 ほかの医者は患者を相手に話すとき、穏やかな表情と優しい声色で安心させようとするけれど、蒼史さんは違う。

 あまり温度や感情を感じさせず、少し怖いとすら思った。

「私は全力を尽くしますが、だからといって望んだ結果を毎回得られるとは限りません。君の体力や、術後のリハビリ次第ということもあります」

「じゃあどっちの方が可能性が高いんですか? 動けるようになるのと、ならないのと」

「先日も説明した通り、君の脚の状態は──」

 蒼史さんの声が静かな病室に淡々と響く。

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