さよならの続き
1.抱いて


ぼんやりした意識の中で、スマホが音を発したのがわかって瞼を開いた。
固い場所に丸まっていることに気づき、ソファの上で寝てしまったんだとわかった。
電気もテレビもつけっぱなしだ。背中が軋んで痛い。
起き上がって背中をトントンと叩く。
ずいふん賑やかだと思ったら、ニュース番組を観ていたはずなのに、いつの間にかバラエティ番組にかわっていた。
ここでやっと脳が稼働し始める。
…え?今何時?
ローテーブルの上のスマホを手に取って光らせる。
20時10分。
メッセージアプリの着信が2件入っている。
『駐車場に着いたよ』というものが1分前。その前に『会社出た』というメッセージもきている。
マズイ。
メッセージの主に慌てて電話をかける。

< 2 / 170 >

この作品をシェア

pagetop