おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜
「できたっと……」
張り切って早起きし朝食を拵えた千春はダイニングテーブルに食器を置いた。見事な出来栄えだったので、記念にスマホで写真をパシャリ。
朝食も出来たしそろそろ起こしに行こうと思ったら、ちょうど香月がリビングにやってきた。
「おはよう、香月くん」
「早起きできて偉いな」
早起きしただけで褒められる二十六歳は世界広しといえども千春ぐらいなものだろう。
「うわ、朝から張り切ったな!」
香月が驚いたのも無理はない。
テーブルの上には焼き鮭、だし巻き卵、ワカメとお麩のお味噌汁といった定番の和食が並んでいた。
二人は朝食が冷めないうちに箸を手に取った。
「ん、美味い!」
「私だって本気出せばこんなもんよ!」
香月から人生初の美味いの言葉をもらえて千春は鼻高々だった。
「お母さんと珠江さんに色々と教えてもらったんだ。夕飯も期待しててね」
「あ、悪いけど夜は今度の学会の打ち合わせがあるんだ。終わったらそのまま飲み会だから夕食はいらない」
「あ、そうだったっけ……」
これからどんどん香月の心を掴もうと意気込んでいたところに、出端を挫かれる形になった。
残念だが珠江直伝のとろっとろの豚の角煮を作るのはのはまた今度にしよう。