おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜
「俺がいないからってくれぐれも夜更かしするなよ?」
「香月くんってエスパー?」
「俺達、何年幼馴染やってると思ってるんだ?」
千春はジト目で香月を睨みながら白飯を口に運んだ。
(私の考えていることなんてすべてまるっとお見通しってこと?)
それなら、もっと頭を柔らかくして千春が率先して朝食を作った理由を考えて欲しいものだ。
(うーん……。今更だけど、胃袋を掴んだところで果たして意味はあるのかな……?)
こうと決めたら突っ走るタイプの千春は、ここにきてようやく自分の行動が正解だったのかと疑問を持った。
家事をやるというのは同居人としての最低ラインの話であり大前提だ。スタートに立っただけで、まだ戦いは始まっていない。
(エステとかに通った方がまだ有意義だったかも……)
費やした時間と労力を考えると、急に心許ない気持ちにはなってしまう。
「ごちそうさん」
それでも、香月は千春の作った朝食を完食してくれた。胃薬も必要なさそう。反省点はあるものの、今日のところは嬉しそうな顔を見られただけでよしとしよう。料理が出来ないよりは出来た方が絶対にいいに決まっている。
「さて、片付けしちゃおっかな」