おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜
「何で今日が定期検診の日だって知ってたの?」
香月についてきて欲しくなくてあえて日にちを黙っていたのに、これでは計画が水の泡だ。
「おばさんから聞いた」
「ほんとにもうっ!うちのお母さんのセキュリティ緩すぎなんだから!」
ひとの個人情報をなんだと思っているのだろうか。話してしまう母も母なら、聞き出す香月も香月だ。
「俺が無理に聞き出したんだ。責めるなよ。そもそも、ちぃが検診の日を教えてくれれば、おばさんからこっそり聞き出すこともなかったんだぞ?」
「検診の日を教えたらついてくるじゃない」
「当たり前だ。診察室までついて行かなかっただけ自重したつもりだけど?」
譲歩したと豪語されるが、ひとつも嬉しくない。
「ついてきたところで香月くんは中に入れないでしょう?」
「残念、配偶者は他人じゃないので入れます」
憎らしいほどのドヤ顔に千春は行儀悪く舌打ちした。どうやら結婚は千春の想像より厄介な代物だった。
千春は香月からそっぽを向くように窓の外に目を向けた。